国債は、決まった利子を払い続け、満期になれば決まった元本が償還されるからである。
リスクという言葉は「危険」と訳されるのであろうが、これは、日本人にとって不幸な、誤解を招く訳語である。
日本語の「危険」に当る英語はデンジャーであって、リスクではない。
ライオンのいるオリの中に入っていくことは、デンジャーである。
身体、財産、名誉などが脅かされる状態そのものは、デンジャーであって、リスクではない。
ノー・リスク、ノー・リターン(リスクのないところに報酬はない)と、よく言われる。
リスクを取らなければ報酬を得られない、という意味である。
しかし、これを逆にして、「報酬のないところにリスクはない」と言うこともできる。
報酬の見込みがない危険は、デンジャーであってリスクではないからである。
先ほどの例で、「10秒間ライオンと一緒のオリにいたら賞金がもらえる」という契約があれば、報酬の見込みがあるから、オリの中に入っていくことはリスクを取る行為と言えるのだ。
そのライオンの性格、人に慣れているかどうか、腹の減り具合などがリスクを分析する際の要素となる。
リスクの本質は、不確定な未来、結果がわからないこと、である。
不確定な部分をリスク管理によって消していけば、思わぬ損害を避けられると同時に、思わぬ拾い物をすることもある。
少し後の「ヘッジ・ファンド」に匹敵する、得体の知れない不気味な国債はリスクが小さい。
その本当の意味は、「国債から得られる収入は、非常に高い確率で一定である」ということである。
国は、債務不履行に陥らない限り、国債の保有者に毎年2回決まった利子を払い続け、満期には定められた金額で償還される。
これに対して、土地や株は、そこから得られる収入が予想しにくい。
予想しにくいこと自体がリスクであって、それが、吉と出ることも凶と出ることもある。
もちろん、英語でも、不確定な未来について語る際に、その中の「備えなければならない部分」を指してリスクと言うことが多い。
「国が債務不履行に陥るリスクは小さい」というように。
しかし、この場合でも、リスクは決して「なんとなく危険なもの」ではない。
あくまでも、「何が起こるかわからない未来」を分析する際の用語である。
「国が債務不履行に陥るチャンスは小さい」と言うこともできる。
リスクは、相対的である。
その人の抱えたライアビリティが違えば、同じアセットが異なるリスクをもたらす。
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